場所は六本木交差点のわき、俳優座劇場。館内には久保田万太郎や千田是也の像が置いてある。
定員300名の会場は満員の入り。春風亭一之輔の「居残り佐平次」以外は何をやるか書いてない。幕が開くとまず映画が始まった。フランキー堺主演の「幕末太陽傳」。それを30分に縮小したダイジェスト版を加藤武のナレーションでやる。映画の見所や監督川島雄三の経歴を要領よく紹介する。
当時の出演者が皆若く、フランキー堺が28才、石原裕次郎が21才、南田洋子が23才、市村俊幸が38才には驚いた。昔の俳優はオトナ顔の人が多かったんだなー。
次に出てきたのは活動弁士、略して活弁の坂本頼光。今年2月に「ワゲイモノ」というタイトルでやった企画で初めて目にした芸人だ。39才という若さで無声映画のナレーションをやる。一之輔とのトークから始まった。
内容は「幕末太陽傳」について。映画を職業にしているだけに「太陽傳」のあれこれを紹介してくれる。一之輔は聞き役だ。
仲入り後は頼光の活弁で大河内傳次郎の「血闘高田馬場」。伊予国西条藩松平頼純の家臣、菅野六郎左衛門らと村上庄左衛門らによる決闘に堀部安兵衛が助太刀して大暴れするという話だ。大河内傳次郎の立ち回りがすごいがフィルムが古すぎて傷だらけだ。マニアの人にはたまらないのだろうが。
トリは春風亭一之輔の「居残り佐平次」。この難しい落語を若い一之輔がどうやるか。結果は見事な出来だった。一之輔の小気味の良い口調で佐平次の複雑な性格が見事に浮き上がってくる。胸がすくようなピカレスクロマンに仕上がっていた。
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