春風亭一之輔独演会  一覧へ


チラシ

全五夜に渡った一之輔独演会の千秋楽である。今回のトリの演目はすべてネタ下ろしということだから大変だったろう。今日のトリの演目は「中村仲蔵」である。

最初に出てきたのは柳家小太郎である。一之輔への期待感に満ちた観客の前に出るのだから大変だったろう。なんと「芝浜」のあらすじから入った。「芝浜」ネタから「舞浜」という創作落語のあらすじに入り、そこから本題の「のっぺらぼう」へ進んでいった。「のっぺらぼう」はラフカディオ・ハーンの「怪談」を発展させて「天狗裁き」風に作り直した創作落語である。それが微妙にまくらの「芝浜」のあらすじにつながり全体として統一が取れているという凝った作りの噺であった。

どうなるんだろう、と思っていた観客は最後には感心して大拍手であった。

すっかり温まった舞台に出てきたのはお目当て春風亭一之輔でまずは「代脈」。見よう見まねで先生の代理をする新米医者の噺である。くすぐりの多い噺だが思ったほど受けず、一之輔首をひねりながら袖に引っ込む。

演目

再び一之輔登場で「粗忽の釘」。毎度おなじみ長屋住まいの粗忽者の噺には大爆笑であった。

中入り後はギター漫談のぺぺ桜井。ぼそぼそした口調でギターと一緒に喋る。大ベテランの83才。ギターの音色がいい。これぞ芸人という雰囲気を身につけている。

トリは一之輔で「中村仲蔵」。口調が硬かったのはネタ下ろしのせいか。ケレン味たっぷりのメリハリのある噺が聴きたかったがもうひとつ足りなかった。「仲蔵」は落語家だと立川志らくが、講談師だと神田松之丞がメリハリがあって良い。


 

(演目)
   ・のっぺらぼう----- 柳家小太郎
   ・代脈----- 春風亭一之輔
   ・粗忽の釘----- 春風亭一之輔
   ・仲入り
   ・ギター漫談----- ぺぺ桜井
   ・中村仲蔵----- 春風亭一之輔

                   
(時・場所)
 ・2018年10月27日(土)
 ・17:00〜19:25
 ・よみうり大手町ホール


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