今日のとげぬき地蔵通りはいつもより混んでいた。特別な行事があるのかもしれない。
第195回すがも巣ごもり寄席。水曜日の昼時という時間帯だがコンスタントに満席(50名程度)である。満席でも断られることはまずない。奥から椅子を出してきてくれる。
まずは柳家花いち。柳家花緑のお弟子さんだ。初めて聴く噺家さんはまくらで見当がつく。つまらないまくらを延々とやる噺家さんは本題も面白くない。噺が面白いかそうでないかはあらすじではなく噺家さんの興味が噺のどこに向いているかが問題だからだ。問題意識のない噺家さんはただあらすじだけをなぞる。花いちはあらすじだけを語る人ではないかと思った。
次は春風亭一蔵の「たいこ腹」。長いまくらは帯広で人間ばん馬を体験した話。実際に体験しただけに汗びっしょりになりながらの熱演であった。「たいこ腹」はオーバーアクション気味な幇間に対してクールでサディスティックな若旦那の対比がおもしろかった。
仲入り後は立川寸志で「猫と金魚」。寸志はこういう小ネタがおもしろい。噺の中で自由に遊んでいて余裕を見せていた。
トリは柳家吉緑で「妾馬」。この噺はどこが面白いのかわからない。バカでおっちょこちょいの兄貴が妹が嫁いだ大名を訪ねていく。そこでかわされる話の行き違いで笑わせようとするのだがよほどうまくやってくれないと白けてしまう。「男はつらいよ」の寅さんを渥美清以外の役者がやるようなものだ。この噺をうまくできる噺家さんを見たことがない。
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