第17回東京JAZZはNHKホールでジョン・スコフィールドと渡辺貞夫の公演が千秋楽となる。
最終日にふさわしいビッグネームである。
マイルスのグループに所属していたジョン・スコフィールドはどんな演奏をするんだろう。非常に楽しみだった。
始まった途端 "音が大き過ぎる" と思った。筆者の席は3階の中段だったから会場の後方だったがそれでも音が大きい。
スピーカーに近い席の人はこの音量に耐えられたんだろうか?
編成はジョン・スコフィールドのエレキギターとドラムス、エレキベース、アコースティックピアノ。普通のカルテットである。
ギターの大音量に合わせるようにして他の楽器にもマイクを突っ込んでPAの音量を上げているから普通のカルテットに聞こえない。
始まったら技術者が調整するだろうと思っていたが終わりまで変わらなかった。
ジョン・スコフィールドはテクニック抜群のギタリストという評判だったがポツリポツリと音を出してそれを電気的にふくらませるだけだからテクニックが有るのか無いのかよくわからなかった。
このコンサートは10月にBSで放送されるらしく、固定カメラ3台、移動カメラ2台、クレーンカメラ1台という物々しいほどのカメラが撮影していた。
中でもクレーンカメラはまるで首長竜のようにしなやかに演奏者を追っていた。ときには演奏者よりも首長竜の動きに見とれてしまったほどである。
30分の休憩の後は渡辺貞夫オーケストラ。
音が出た瞬間安心した。PAを最低限にまで抑えたアコースティックな音が柔らかく会場を包んだからだ。
渡辺貞夫のアルトサックスは澄んでいて耳に心地よい。広い会場だからPAは効かしているのだろうがそれをまるで感じさせない。
NHKは音と照明についてはプロの集団である。これができないはずはない。前半の音は演奏者の注文だったのだ。
演奏は渡辺貞夫の曲を中心にときにはコルトレーンやモンクの曲をはさんで快調に進んだ。MCは貞夫さんが曲目だけを紹介する程度。
最後の曲は渡辺貞夫作曲の "Home Meeting" 。アップテンポの親しみやすい曲だ。終わっても拍手が止まらない。
しばらくして出てきたのは貞夫さんとピアニストのふたり。静かに吹き出したのは "NHK 東日本大震災復興支援ソング ... 花は咲く" 。
明治神宮前駅目指す人の流れにのって夜の道を歩く。ケヤキ並木でやっていた演奏も終わり、機材を片付けている。
代々木公園には誰もいない。樹齢100年以上ありそうな木々が立っているだけである。
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