松戸駅から徒歩10分ほど、線路沿いに昔からあるホール。古い会館だけに椅子の幅も前後の間隔も狭い。
前座は三遊亭じゃんけん、三遊亭兼好の弟子だ。噺は「まぬけ泥」。数ある泥棒ものの一つ。明るい高座は師匠の兼好ゆずり。
続いては桃月庵白酒で「代脈」。噺に入りそうではいらない。まくらが長過ぎるのも間が抜けている。ひとつひとつは面白いのだがいくつも重なると早く本題に入らないかな、と思ってしまう。
次はお目当て春風亭一之輔で「天狗裁き」。ご当地松戸を茶化した後、最近よくやる次男もののまくらから噺にはいる。まくらも面白ければ本題も面白い。勝手なもので面白ければもっとまくらをやってくれてもいいのに、と思ってしまう。本題の「天狗裁き」は大爆笑。八五郎が昼寝をしたとき見た夢を巡ってのドタバタは人間の深層心理をうかがわせるような不気味さも垣間見えて爆笑したあとなにかが心に残る。
落語には夢オチという噺も数多くあり、昔の人は夢の持つ不思議さを様々に解釈していたのだろう。
トリは柳家喬太郎で「井戸の茶碗」。まくらはなく、いきなり本題に入ってしまう。淡々と「井戸の茶碗」を語り、不気味な死神の印象を残して終演とした。オチもあっさりしたものだった。
人気者の共演は舞台に華やかさを残して幕となった。満席の会場から満足感に満ちた客が三々五々駅の方角へ散っていった。
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