真夏の夕方は怪談話である。
三遊亭圓朝作「牡丹灯籠」。講談や落語ではお馴染みの話だが役者白石加代子はどうやるのか。
講談や落語とはひと味もふた味もリズムが違う、役者ならではの「牡丹灯籠」だった。白石加代子の独特の語り口が圓朝はこうやったのではないか、と思わせるほど真に迫っていた。
また、女性がやるとこうも違うのか、と思うほど艶やかで華やかな舞台であった。
全部やると20時間はかかるといわれる原作の一番絵になる場面「お札はがし」を中心に、その後の伴蔵、お峰、お国の成り行きをうまく2時間にまとめていた。
カーテンコールの時白石加代子は客席に向かって塩をまいてお清めした。怪談話をやる時にする舞台人独特の習慣なのだろう。 満員の観客は変なものがとり憑くこともなく丸井デパートの中へ散って行った。
「牡丹灯籠」も「真景累ヶ淵」同様全編通しで聴いてみたい話である。
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