風間杜夫落語会の開口一番は神田松之丞の「扇の的」であった。これは「源平盛衰記」から有名な那須与一が船の上の扇を矢で射落とすという名人芸の話である。
例によって軽いジャブで笑いを取りながら自分のペースに持って行く。最近の松之丞は無理に客いじりをすることもなく自然に自分の体制を作りあげて行く。
今日のお目当て風間杜夫は「湯屋番」。道楽息子の若旦那が男子の夢である風呂屋の番台に座ったらという噺である。番台の上で妄想に耽る若旦那のしぐさで笑いを取る噺である。
これは違うな、と思った。まくらも本題も同じ調子である。間の取り方も同じ。佳境に入っても笑えない。次の噺に期待するしかないかな。
仲入り後の松之丞は「宗悦殺し」。三遊亭円朝作「真景累ヶ淵」の冒頭の部分である。時間に制約があるのか絶妙な省略で話を進めて行く。それでも宗悦を殺すシーン、新三郎が狂っていくシーンはすごい迫力である。会場がシーンとなる。
トリは風間杜夫で「火焔太鼓」、古今亭志ん生の十八番である。中身も志ん生のテープをコピーしたかのようにそっくりであった。
志ん生そっくりにやっていて調子はいいのだが笑えない。何が違うんだろう。
今回の落語会はプロとアマチュアの違いを見せつけられた貴重な会であった。
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