桂三四郎の「時うどん」は面白かった。
江戸落語の「時そば」の客はひとりだが、上方落語の「時うどん」はふたりである。テンポの良いふたりの会話で噺は進む。うどん屋は付け足し程度で出てくる。
オチはどちらも同じだが三四郎はひとひねりしている。あきれたうどん屋が代金はいらないから帰ってくれという。これではオチまでたどり着かないから客がアセる、という楽屋オチをつけくわえて我々観客を戸惑わせる。
続いては三遊亭わん丈。二つ目になって6年目と経歴は少ないが落語家になる前ミュージシャンをやっていただけあって舞台慣れしている。堂々と「五貫裁き」をやった。
大店の旦那が一文を惜しんだために二十両損したという古典落語の名作である。わん丈は以前「お見立て」で軽い嘘をついたために大きな嘘をつかざるを得なくなった花魁の噺をやった。
そういうことは我々も何気なくやってしまって後悔することがある。昔も今も変わらないんだよ、といっているようだ。
45分間の大ネタをやってしまい後悔したのか後半のわん丈は「魚の狂句」という軽い噺をやって10分くらいで引き下がった。
トリの三四郎は「過去のないワイン」という新作落語をやった。ワインセラーの中でワインたちが世間話をするという軽い噺である。これも45分の「五貫裁き」の影響かもしれない。
フランス産のワインがコンビニの安ワインをバカにしたり、スパークリングワインのコルクが漏れていたり、三四郎の噺はバカに面白かった。
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