短いまくらからいきなり「死神」の世界にはいった。
志らくらしい軽いフットワークである。フットワークも軽いが噺も軽くなってしまった。
女房と子供ははじめに出たきりであとは消えてしまったし、おまじないの言葉は「池坊保子のつけまつげ」である。オチは「ハッピバースデーツーユー」でロウソクを吹き消してしまう。
談志の弟子ならもう少し「人間の業」を表現して欲しかった。数年前のこの会場での「柳田格之進」ではそれが表現できていた。
仲入り後は新作落語、「不幸の家族」。向田邦子の「あ・うん」を改作したような話である。
最後は友達の娘を自分の息子と取り合い、勝ち取ってしまうという。なんだかまとまりのない話だ。
これで1時間の長講は長い。
パンフレットによると自分の劇団でやったものを落語に直した作品とのこと。志らくの演劇はいただけない。
そんなもの直さないで、落語の「お直し」でもやって欲しかった。
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