開口一番は桂しん乃。独特の舌足らずの口調でやった噺は「平林」。観客爆笑。前座の割にはバカに面白い。
調べて見たらこのひと、三遊亭日るねという名で二つ目の10年選手だった。昨年1月に廃業した後、桂伸治に弟子入りして前座からやり直しという変わった経歴の人だった。
サービス精神旺盛な桂宮治はマイケル・ジャクソンという扮装で登場した。マイケル・ジャクソンというよりもブルース・ブラザースのジョン・ベルーシという方が当たっていると思うが。
幕が下りてさあ高座が始まるかと思ったら高座の上に「アナと雪の女王」のエルサがちょこんと座っている。徹底的にサービス精神旺盛な人だ。
はじめの噺は「初天神」。くすぐりが多く大爆笑の「初天神」である。くすぐりが多すぎて話が進まず飴玉のシーンで終えた。
次は「片棒」。長男次男三男が大店の主人の葬儀をどういう風に企画するか、という噺である。企画の奇抜さで笑いを取る噺である。
三者三様の企画をどういう風に際立たせるかが落語家の腕である。長男は良かったが次男三男の企画がいまいちで大爆笑というわけにはいかなかった。
中入り後は黒い紋付で現れた。左官屋の長兵衛を呼んで説教をする佐野槌の女将のシーンから始まった。「文七元結」である。
独演会のトリである。大きい噺を持ってきた。
江戸前の女将の心意気、義侠心に熱い職人の心意気、包容力のある大店の主人を1時間かけてたっぷり演じきった。
エンターティナー宮治の魅力がたっぷり詰まった舞台であった。
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