笑福亭茶光の「手紙無筆」から始まった。日暮里駅前のホテルの4階。変わったところにホールがある。
鶴光の弟子茶光は上方の落語家である。口調は鶴光に似ていた。「手紙無筆」という噺はやる人によって手紙の内容が違う。やりたいようにできてどこでも終わらせることができる。前座にぴったりの噺だ。
落語会でのトークは好きではない。その時間をまくらなり噺なりに使って欲しい。
三遊亭わん丈の「お見立て」。遊郭の女郎喜瀬川、流山のお大尽杢兵衛、遊郭の男衆喜助、三者三様の思惑がぶつかり合いドラマを生んでいく。わん丈はドラマを語るのではなく登場人物を丹念に描くことによってドラマを生み出していく。その辺の手際、演技力は見事だ。経歴を調べたら2011年三遊亭円丈に入門、2016年二つ目に昇進とあるからまだ本格的に初めて1年くらいだ。
1年でこれほどの喜瀬川を演じられるのは大したものだ。この人は天才ではないか。
神田松之丞は「荒川十太夫」。暮れの大成金のトリでもやった話だがわずかの間に進歩していた。お白州で十太夫が切々と語るシーンがある。低い声で延々と語るのだが感情が入ってつい大きな声を出してしまうところを抑えに抑えて低い声で語る。秘めた感情が観客に伝わり、シーンと聴き入る。裂帛の気合を込めてえーいと刀を振り下ろす。全ての抑えた感情をそこで吐き出す。段取りが見事に決まって観客は溜飲を下ろす。松之丞はどんどん進化していく。我々は彼の進化を見落としてはならない。
トリは桂雀々の「手水廻し」。西と東が交わる時のおかしさを描いた噺である。雀々が「チョーズ」が「チョーズ」がというだけでおかしい。観客大爆笑。
毎回生きのいい若手をまねいて勝負する会の2回目。思いっきりぶつかっていく若手も見事だが受けて立つ雀々も負けてはいない。緊張感のある対決は第3回目へと続いていく。
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