笑福亭羽光の「関西人のはらわた」という軽い噺から今日の会は始まった。
東京と大阪を行き来する落語家ならではの噺である。今回の大成金の構成及びマネージメントは彼の担当ということで緊張しつつも客をしっかりつかんでおきたいという気迫にあふれた噺ぶりである。
二番手は桂宮治の「親子酒」。おなじみの噺だがこれ以上壊せないというほど噺を自分なりにアレンジしてきた。爆笑また爆笑。客席の温度は一気に温まった。
中入り前のトリは今日のゲスト林家たい平、噺は新作の「クリスマス・イブ」。生きの良い二つ目たちの年に一度のお祭りにゲストとして招かれた三人の真打の中の初めの1人。何をやるんだろう。難しい役である。
下ネタのマクラから入った噺は一昔前のクリスマス風景。フィリピンバーでどんちゃん騒ぎ、家に帰ると妻と子供がふてくされている。実は…。ということで人情噺に落ち着くのだが…。羽光、宮治が引いた路線がぶち壊しになってしまった。ここは松之丞が言ったように先輩として宮治のハチャメチャを受けて立ち、返り討ちにするほどのパワーとテクニックが欲しかった。
仲入り後は空気を読んだ三遊亭小笑が軽く15分ほどで「粗忽の釘」を打ち、トリの松之丞につないだ。
満を辞して出てきて松之丞は「講釈師、義士とお化けで飯を食い」の定石通り、義士もののひとつ「荒川十太夫」をたっぷり読んでくれた。
昨日聴いたばかりなのだが定員100名のお江戸日本橋亭と500名のイイノホールでは意気込みが違う。昨日のような軽い松之丞もいいが、今日のような全力疾走の松之丞もいい。
終わってみると若い成金たちのチームワークの良さが浮き彫りになった良い会であった。
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