Be-BopならぬRe- Bopである。Be-Bopの世界を思い切り吹くぞ、という気概にあふれたタイトルである。
初めにメンバーを紹介した後は曲目を紹介するだけで淡々と演奏する。自分たちは自分たちの音楽を演奏しに来たんだ、という意気に満ちている。
アルト・サックスの音が澄んでいて綺麗である。音が大きい。時にはマイクを外して生の音を観客に聴かせる。とても84才の音とは思えない。
ピアノ、ベース、ドラムスそれぞれ渡辺が選んだだけあって名人揃いである。それぞれの演奏を見ているだけで楽しい。時々ドラム奏者が目にも留まらぬスピードで叩く。アルト・サックスの音を邪魔しない程度に音量を抑えて叩く。
会場は700人ほどの中程度のホール。壁は木でできていて年季が入っている。数々の名演奏を支えてきたホールである。外は雨。中では白熱した演奏が続く。
最後の曲は「アイム・オールド・ファッション」。1970年代、マイルスのリズムセクション、ハービー・ハンコック、ロン・カーター、トニー・ウィリアムズと録音したアルバムに入っている曲である。1950年代にチャーリー・パーカーがやった「Be-Bop」を1970年代のやり方でやるぜ、という意味を込めた曲だった。その曲を2017年の今、さらに現代的なアレンジを施して演奏した。コンサートのタイトル「Re- Bop」を音で表現して見せた。
演奏後帰り支度をするベーシストを手で制して次々と演奏を続ける。終演の時刻を20分ほど過ぎて演奏は終わった。
アンコールの拍手に応えて出てきた渡辺は「みんなで練習した曲は全てやってしまいました。ひとりでやります」と言ってマイクを通さずにアラビア風のエキゾチックな音楽をソロで演奏した。
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