「葛飾区・ウィーン市フロリドルフ区友好都市提携30周年」記念演奏会である。曲目もブルックナーの他はヨハン・シュトラウス2世の作品が並んでいる。
毎年ニュー・イヤーコンサートで演奏されるようにヨハン・シュトラウスの作品は華やかで気品がある。今日演奏された曲はいずれもどこかで聴いたことがあるおなじみの曲である。最後の「皇帝円舞曲」は最高に華やかな曲でまるでヨーロッパのお城で舞踏会に紛れ込んだかのような気分にさせられる。
休憩の後はブルックナーの「交響曲第7番ホ短調」である。1楽章が約20分、4楽章全部で80分近くかかる大作である。否が応でもブルックナー独特の世界に浸りきる。
ブルックナーの交響曲は「自然」に例えられる。川のせせらぎ、風の音、動物の足音。自然に親しむように曲を聴くとすんなり心に入って来る。そこに意味を見つけようとしたり教訓を得ようとするとたちまち退屈してしまう。
安心してゆったりと身をまかせるとやさしく包み込んでくれる。そのような音楽である。
楽器の編成の都合だろうか、普段は右側にいるコントラバスが舞台の一番後ろの高いところに一列に並んでいる。大地の振動のような低音が頭の上から降ってくるようであり、ブルックナーの音楽を表現するのに一役かっていた。
アンコールは誰もが一度は聴いたことのある「南国のバラ」、ヨハン・シュトラウスの代表作で締めくくった。
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