開口一番は前座2年目の三遊亭あおもり。落ち着いた口調で「浮世根問」、町内の若い者と隠居のとんち問答だ。あまりに滑らかな口調なのでウトウトしてしまった。
上方の桂南光は桂枝雀の弟子だ。桂雀々の兄弟子にあたる噺家である。長めのまくらから「義眼」、滑稽噺だ。初めて聴く噺家さんだが話が面白くてうまい。
柳家権太楼。この噺家さんも初めて聴くが面白くてうまかった。
まくらをやりながら「もうそろそろ暮れだから芝浜でもやりますか」「トリにやりましょう」と言いながら「代書屋」を始めた。独特のリズムでこの滑稽噺を語った。
仲入り後は南光で「抜け雀」。小田原の旅館の亭主と女将が関西弁で会話する。亭主が上方から出てきて旅館に泊まり、そのまま婿養子に入ったという設定にしてある。もともとは江戸前の噺なんだろう。
オチがいつもと違うのでこれが上方風かと思った。「親を駕籠かきにした」ではなく「自分が天狗になるのを戒めてくれた」としてあった。
トリは予告通り権太楼の「芝浜」。長い噺なのでまくらなしで始めた。 「芝の浜へ行ったのは夢で、飲んだり食ったりしたのは本当なのか?」 芝浜は数多く聴いているがこんな迫力のあるのは初めてだ。夢だと言いくるめられた亭主が真実を知った時の苦悶の表情は演じている権太楼がどうにかなってしまうんじゃないかと思うほど迫力があった。
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