背の高いベース奏者が出てきてソロで弾きはじめた。なんの曲だろう。暖かいウッドベースの音。
次に出てきたのはドラム奏者乾いた軽快なドラミング。まだ曲名はわからない。
最後にピアノ奏者が出てきた。女性だ。ピアノを弾きはじめたら曲名がわかった。「サマータイム」だ。おなじみの曲を軽快な編曲で演奏しはじめた。ピアノがスイングする。からだが動く。
はじめの曲から客席と演奏者に一体感が生まれた。独特の編曲の「キラキラ星」、「スターダスト」。いずれもスイング感あふれる演奏だ。
ドラマー江藤良人オリジナルの「KA-BA Blues」で調子を変え、前半最後の「キャラバン」では思いっきりスイングする。揺れるからだを止めることができない。
あっという間に前半がおわった。いずれも初めて聞く名前の演奏者だが、ピアノトリオでこんなスイング感を味わったのは初めてだ。
後半はじめは有名な「虹の彼方」。スタンダードナンバーの編曲が素晴らしい。
「SORA」は清水絵理子のオリジナルだ。数年前突発性難聴で現役を離れていた時にいつも頭の中で鳴っていたというメロディを元に作られた曲だ。独特の内面世界を表現している。スタンダードナンバーとは異質の曲だ。
続いての「ストレイト・ノー・チェイサー」はモダンジャズの定番である。途中からアドリブソロの交換になり、まるでゾーンに入ったかのようにピアノとベースとドラムスの曲芸的な交換。からだを揺らさないと頭が破裂しそうになるほどのスイング感。
ベーシスト上村信のオリジナル曲「Time」はゆったりしたフォー・ビートで演奏された。 最後はモダンジャズの定番「枯葉」。独特の編曲で「枯葉」とわかるまで時間がかかった。ピアノの音が素晴らしくよく響く。 アンコールは初めて聴く曲のように聞こえるほど変わった編曲の「アメージング・グレイス」。ピアノの音がよく響く。
今日は最上のピアノトリオを聴いた。メンバーはそれぞれ10数年ぶりに会ったという。言われなければ10数年一緒にやっているグループだと思うだろう。今夜だけの特別編成だとすれば貴重な一夜を過ごしたことになる。
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