16回目の東京ジャズフェスティバルはNHKホールで行われた。土曜日の昼の部、夜の部と日曜日の昼の部、夜の部の合計4回のコンサートである。そのほか代々木公園のケヤキ並木でやったり、渋谷センター街でやったりして合計10カ所で3日間にわたって行われた。出演者の数からしてもかなり大規模なジャズフェスティバルといえる。
夜の部は終演が10時近くなることが予想されるので昼の部にした。
トップは新進のジャズコンポーザー、アレンジャー狭間美帆のセット。デンマークラジオ・ビッグバンドを指揮してジャズ100年の歴史を映像と実演で見せる。ビーバップで日野皓正、クールジャズでリー・コニッツ、フリージャズで山下洋輔、フュージョンでリー・リトナーをフューチャーする。贅沢な演奏である。
日野皓正、山下洋輔の激しい演奏を見るととても彼らが70台半ばとは思えなかった。90才のリー・コニッツが手を引かれて出てきたときは驚いた。ジャズの歴史が歩いているようだった。
次のセットはシャイ・マエストロトリオ。シャイはイスラエルのピアニストで30才。独特のピアノタッチだ。メリハリの効いたタッチは音楽の輪郭を明確にする。ドライブの効いたウッドベース、軽くてリズミカルなドラムス。拾い物のピアノトリオである。
トリオに途中から加わったのはチリ出身のシンガーソングライター&ギタリスト、カミラ・メザ。独特な歌声は不思議とピアノトリオにマッチする。もはやジャズは世界音楽だと実感した。
昼の部の目玉はチック・コリア&ゴンサロ・ルバルカバ。ピアノ・デュオである。
何気なくポツリポツリと弾き始めたと思ったらだんだん激しくなる。即興で弾いているように見えるがアンサンブルは乱れない。この2人は息をするのと同じようにピアノを弾く。
コンサートが終わって外に出たら公園のケヤキ並木ではすごい人だかり。デキシーランドジャズをやっている真っ最中であった。
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