先ずはブラ坊。「夏泥」は何もない長屋に入った泥棒がしょうがなくなり、自分の金を置いてくる噺。ブラ坊は正統的な話ぶりでよどみがない。二つ目。ブラックの唯一の弟子である。
次はブラックの「女子プロレス版湯屋番」。ただし銭湯の番台に上がる代わりに女子プロレスのリングに上がる。
高座を降りることなく次の噺へ進む。歌舞伎の話しをまくらに「淀五郎」に入る。正統的な淀五郎だ。
仲入りの後は「一心太助ゆすり場の巻」。田舎から掛取りに出て来た弥太郎が宿場で薬を盛られて証文を奪われてしまう。それを助けるのは一心太助。太助もののひとつだ。
トリは「放送禁止百川」。小料理屋百川で宴会をしているのは立川流若手の落語家。取り次ぎに出たのはすごい訛りの百助。百助の言葉を通訳した左談次は部落解放同盟の代表者が抗議に来たと勘違いする。中野で超放送禁止大喜利をやったからだ。あわてた談笑が酒を出したりつまみを出したりして百助を接待する。
やがて誤解だとわかり、百助を性感マッサージ師の南よしこ先生のところへ使いに出す。百助はかん違いして三波春夫先生のところへ行ってしまう。
「一心太助ゆすり場の巻」と「淀五郎」は正統的な古典落語を、「女子プロレス版湯屋番」と「放送禁止百川」は崩した古典落語を演じた。ブラック師匠の本来は後者である。 差別用語、フォーレター、皇室からかいネタを連発するブラック師匠は生き生きしている。これほど連発されるとわれわれがいつも使っている言葉がいかに管理されたものであるかを実感する。
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