トリオの演奏で静かに始まった。いかにもピアノトリオという曲目で「Going Going On」と「Gypsy Baroqe」。両方とも国府弘子の作曲で前者はノリのいいビーバップ、後者はバッハ風の曲だった。
ここで尺八の藤原道山が登場した。宮城道雄作曲の「春の海」をソロで吹き始めた。ワンフレーズソロで吹いた後流れ込むようにベース、ドラムス、ピアノが入ってきた。徐々にノリのいい「春の海」になってきた。低い音から始まった尺八は徐々に高くなり、リコーダーかフルートのような音で演奏し始めた。
藤原道山作曲の「東風」になるとジャズのカルテットといったようでまるで違和感がない。この辺から客席の温度が上がり始めた。
後半は「ピアノ一丁のテーマ」「Rhapsody in Blue」と国府のソロピアノが続いた。ピアノの音がきれいだ。
「忘れないよ」は国府と藤原のデュオ。半年ぶりにやるとは思えないほど息の合ったプレイだった。演奏後感極まった国府がMCをできず、藤原に助けを求めた。息がぴったり合ったのだろう。音楽家同士ならではのシーンだ。
「キラキラ星」では国府得意のジャズの解説をしながらの演奏。次の「アランフェス協奏曲」は今日一番のノリのいい演奏だった。藤原は完全にジャズミュージシャンと化し、カルテットによる素晴らしい演奏だった。
「Starland」で今日のプログラムはおしまい。その後の拍手が異常に長かった。しかも時間が経っても衰えることがない。
やっと出てきた国府に観客席から「ありがとう!」の掛け声。国府もニコニコしながら「こちらこそありがとう」。アンコール曲の「Tombo」では演奏者と観客が完全に一体となっていた。こんな盛り上がりは始まった時は想像もしていなかった。
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