実験落語 neo シブヤ炎上  一覧へ


チラシ

1時間前からの開場はこのためだったのか。会場に入るやいなやロビーに人だかりがしている。パイプ椅子が並び演台がしつらえてあり落語家が座っている。席が空いていたので座ってみた。一番前の正面だった。落語家と面と向かう席のため空いていたのか。

話し始めたのは三遊亭はらしょうという落語家。円丈の弟子だろう。演目は「円丈グルメ噺」。円丈家の食事の風景を面白おかしく話し始めた。なかなか興味深く面白い語り口だった。

本題に入りまずは林家彦いちの「遥かなるたぬきうどん」。今日の会は全員が円丈作の噺をやることになっている。
彦いちの「たぬきうどん」は数年前から自分の高座でやっている噺なので手慣れた話しぶりだった。アイガー北壁の頂上から出前のうどんを注文し、それを受けてうどん屋の主人が出前するというシュールな話を面白おかしく演じた。客席からの笑いも多かった。

次は浪曲、玉川太福の「悲しみは埼玉に向けて」。北千住で東武線に乗り換えて埼玉県あるいは群馬県栃木県まで帰ろうという通勤のサラリーマンを皮肉った噺、円丈自身が北千住在住ということもあってところどころ話がリアルになる。そこが妙におかしい。演者太福と曲師みね子のコンビはますますチームワークが良くなっており、このような新作の話でも楽々と三味線の合いの手を入れている。

トリは神田松鯉先生で「栗橋の焼き場殺し」と題名からしてすごい。

演目

つぎは柳家さん喬の「稲葉さんの大冒険」。人情噺の大家さん喬が新作をやるのは珍しい。ただこの噺は昔さん喬をモデルにして円丈が作った話ということで嬉々として演じていた。さん喬の本名は稲葉稔という。

仲入り後は桂雀々で「インドの落日」。お父さんと3人の子供たちの噺。まくらで自分の悲惨な生い立ちをしゃべってから本題に入ったためかクライマックスでは涙をボロボロこぼしながらの熱演であった。最も涙は最前列の自分たちにしか見えなかったかも知れない。

入口

トリはお待ちかね三遊亭円丈で「横松和平」。立松和平のもじりである。認知症が始まったとかで原稿を見ながらの高座は少し残念だった。72才というからそれほどの年令でもなかろうと思うのだが。
男同士の漫才は皆仲が悪く、夫婦の漫才は皆仲が良い、というまくらから夫婦漫才師の悲哀の物語に入っていった。

全部円丈作の噺ではあったが語り手それぞれの持ちネタのように聞こえた。古典落語も初めは新作だったという使い古された言葉が実感できた会であった。


 

(演目)
   ・ウエルカム落語〜円丈グルメ噺 ----- 三遊亭はらしょう
   ・遥かなるたぬきうどん ----- 林家彦いち
   ・悲しみは埼玉に向けて ----- 玉川太福
   ・稲葉さんの大冒険 ----- 柳家さん喬
   ・仲入り
   ・インドの落日 ----- 桂雀々
   ・横松和平 ----- 三遊亭円丈

                   
(時・場所)
   ・2017年4月29日(土)
   ・16:00〜20:30
   ・シブゲキ







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