お江戸日本橋亭に並ぶ前から雨が降っていた。雨降りにもかかわらず松之丞の会は盛況だ。会場に入っても後から後から客が入ってきて結局満員だ。会場のエアコンは初め暖房だったのがいつの間にか冷房に切り替わっていた。
神田みのりは前回に引き続き宮本武蔵伝。今回は「下関船宿」、船宿での旅人たちの噂話だ。話題は巌流佐々木小次郎と宮本武蔵の決闘だ。話は大詰めに近づいてきている。
松之丞は畦倉重四郎第四話「越前の首」。前回の三話分のあらすじも兼ねて長い話となった。この話そのものが短編小説のようだ。
仲入り後はすぐに第五話「金兵衛殺し」。悪の権化、畦倉重四郎は相手が誰であろうと自分にとって不都合になるものを何のためらいもなく殺す。新しい登場人物金兵衛も出るやいなや殺されてしまう。今まで重四郎と関わった人物はほとんど殺されているから初めからああこいつも、と思ってしまう。ずっと一緒にいる弟分の三五郎がよく無事でいるものだ。
トリは神田松鯉先生で「栗橋の焼き場殺し」と題名からしてすごい。
大岡政談のうち「徳川天一坊」以外の「畦倉重四郎」と「村井長庵」は松鯉先生が古本屋で見つけて工夫したものだそうだ。松之丞がそれを継いでくれてうれしい、といっていた。松鯉先生74才、松之丞34才、息子か孫のようだ。
「栗橋の焼き場殺し」は題名通り凄惨な話になる。昔の人は連続テレビドラマの代わりにこのような連続ものを聴いていたのか。
おしまいに松鯉先生二コーっとして「次回はもっと面白くなります」といって頭を下げた。
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