市楽の「湯屋番」は面白かった。客を笑わそうと一生懸命にならなければさらに面白くなったと思う。市楽は自分のフラをもっと信用したほうがいい。
三三は八五郎と大家さんの掛け合いから始まった。落語に最も多いパターンなので当てるのが難しい。八五郎が質屋の六兵衛に一文を投げつけて、それが元で大岡越前守の御前に引き出されたところで気がついた。「五貫裁き」か。 初めから大きな噺を持ってきたな三三は…。すったもんだの挙句寝不足の六兵衛が大家さんに胸のすくような小言をいわれる。それを機に六兵衛は慈善事業に目覚め、というのは嘘くさいがそこは次代の名人三三が話すと真実味をおびてくる。
仲入り後は「碁泥」と「幾代餅」。
「碁泥」は初めて聴く噺だった。囲碁の好きな旦那同士の噺は「笠碁」かと思ったが、途中から変化してくる。最後は旦那同士の囲碁の対戦に泥棒が混じって…、というおかしい噺になる。
そして「幾代餅」、おいらんが高尾で二人で始める商売が染物屋なら「紺屋高尾」になる。これはおいらんが幾代で商売が餅屋だ。同じような噺があるものだ。 これも嘘くさい噺だが次代の名人三三が演ると美談になってしまう。
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