題名のように今日は法政大学OBの会のようだ。客層もいつもとは違い中年以上の人が多く、和気あいあいとした雰囲気だった。部外者にとってはあまりいい雰囲気とは言えないが…。
前座は柳家けん玉の「子ほめ」。定番の前座噺だ。前座噺というのは上手い人がやらないと面白くならない。けん玉の「子ほめ」はおもしろかった。お世辞でなく笑えた。けん玉は表情に工夫を凝らしている。ちょっと大げさな表情を作って遠くの客にも届くようにしている。なんとか客を笑わせてやろうという熱意が表情に出ていて、それが功を奏していた。
次は今日のメイン出演者小かじの「あくび指南」。これも前座噺に近い噺で上手い人がやらないと間延びしてしまう。あくびの演技そのものが間延びした動作だからそれに見せ場がないと本当に間延びしてしまうのだ。小かじの演技は間延びしてしまい、客があくびをしそうな雰囲気だった。
今日のお目当て三遊亭萬橘は「寄合酒」。たたみ込むような江戸っ子同士の会話は小気味が良い。漫画的なほどバカバカしいシチュエーションも萬橘に乗せられてしまい、大笑いしてしまう。これが芸の力か。萬橘は本物だと確信した。
仲入りの後は法政大学出身の3人の落語家による鼎談。とはいっても他の2人と萬橘とでは格が違う。萬橘の独演会のようになってしまった。鼎談の代わりに萬橘の噺をもう一席やってもらったほうがよかった。
トリは小かじの「井戸の茶碗」。普通にやれば面白い噺だが、小かじは普通の落語家が普通にやるようにはできないようだ。本を読んでいるような感じ。登場人物たちの性格設定ができていなかった。簡単な噺のようでいて意外に登場人物が多く、それぞれの性格が表現されていて初めて普通の面白い噺になる。小かじはまだトリをつとめるのは荷が重いようだ。
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