立川志らく独演会  一覧へ


チラシ

開口一番のらくまんはなかなか達者な話ぶりだった。最近の前座の中では一番いい出来だと思った。「小町」という噺は毎度おなじみ八五郎がご隠居のところにヒマを潰しにくる。そこで珍妙な話が繰り広げられる、というパターンである。どこで終わってもいい。前座向きの噺である。

志らくの「金明竹」には驚いた。最近談笑が津軽弁でやったのを聴いて抱腹絶倒したが、今回のはそれに勝るとも劣らないほどおかしかった。アメリカ人が京都の商家で番頭をやっている。それが江戸の商家に主人の伝言を伝えに来るのだからシチュエーションだけでもおかしい。演技力の巧みな志らくがやるのだからそれが何倍にもおかしくなる。笑った。

次の「鉄拐」は初めて聴く噺だった。商家の番頭が何のはずみか霞を食って生きている仙人を余興の出し物としてスカウトしてくる。
仙人は初めは仙人らしいのだが余興を重ねていくうちに俗物化していく。はては「津軽海峡冬景色」の節で「天城越え」を歌ったり、「防人の唄」の節で「芝浜」を歌ったりし始める。めちゃくちゃだ。まるで筒井康隆の小説を読んでいる気分だ。

プログラム

仲入り後は大ネタ「らくだ」。志らくらしいメリハリのある「らくだ」だった。

屑屋の久兵衛が丁目の半次の使いをして右往左往しているうちに、こわもての半次の中にやさしさを見てとる。それが後半の酒盛りのシーンになだれ込んでいく布石になる。志らく独特の演出だ。他にこういう解釈をした落語家はいない。

演目

通常は酒盛りのシーンで終わりになるのだが今日の志らくはフルバージョンでやった。そのあとらくだを担いで焼き場まで行くシーンである。らくだの屍体のつもりで願人坊主を火中に放り込んでしまい、屍体がかんかんのうを踊り出したというブラックなオチで終わらせた。最後はハチャメチャで終わらせた。今日の隠しテーマは「ハチャメチャ」ということだったらしい。


 

(演目)
   ・開口一番〜小町 ----- 立川らくまん
   ・金明竹 ----- 立川志らく
   ・鉄拐 ----- 立川志らく
   ・仲入り
   ・らくだ ----- 立川志らく

                   
(時・場所)
   ・2017年3月17日(金)
   ・19:00〜21:15
   ・銀座ブロッサム中央会館




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