先ずは立川かしめ、立川こしらの弟子である。明るい人柄が伝わってくる高座で「元犬」、前座噺だ。
元は犬だったのだが念願かなって人間になり…というファンタジー。「寿限無」もそうだが前座噺というのは笑いを取るのが難しい。特にファンタジー系は難しい。真打がやると笑えるのだが、単純な話だけにテクニックが要求されるのだろう。
吉笑は長いまくらから「だいこん騒動記」と「十徳」をやった。
両方とも吉笑独特の話術で「これならどうだ? そうきたか! それならこうだ!!」という観念のせめぎ合い。早口のせめぎ合いの迫力に思わず笑ってしまう。
仲入り後はやはり長いまくらから「ノマド」と「茶法」。
ノマド(Nomad)というのは初めて聞く言葉だが英語で「遊牧民」という意味のようだ。IT機器を駆使してオフィスだけでなく様々な場所で仕事をする新しいワークスタイルを指す言葉らしい。最近WIFIのある喫茶店(スタバ)でパソコン(Mac Air)を操作している人を目にする。彼らのことをノマドワーカーと呼ぶらしい。ネットを見ているだけの人もいるだろうが。
「ノマド」は孤独なノマドワーカーを皮肉った噺である。
「茶法」は突然お茶が飲めなくなる噺。お茶と言っても茶の湯の方ではなく、普通のお茶。何事も深く考えすぎるとがんじがらめになって何もできなくなる、ということを皮肉った噺である。
「ノマド」も「茶法」も現代人独特の神経症的な考えや行動を切り取っていて身にしみる。昔の人がこれを聴いてもなんだかわからないかもしれない。
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