前回は客席が8割がた埋まっていたが、今日は2、3割しか入っていない。客商売は水ものというが何が原因で入るのか、または入らないのか、わからないものだ。
自分のことを言うと前回は笑二の「鼠穴」が見たかったから来た。今回は笑二が「五人廻し」をどのように演るのか興味があったから来た。他の客はどうだったのだろう。
笑んの「つる」。笑んは相変わらず棒読み。それに吉笑の口調が少し入っていた。せっかく談笑に弟子入りしたのだから師匠の真似をしてほしい。
二番手は吉笑。「ぞおん」の前振りから「蔵替え」に入っていった。こういうのをなんていうんだろう。「擬似まくら」か。
仲入り後はお目当て笑二の「五人廻し」。前回見事に中年の兄弟の虚実を描き切った笑二が曲輪の世界をどう描くのか。
結果は「?」。若いだけに柔らかい方の心のひだを表現するのは無理か。
トリは談笑の「富久」。
運命に翻弄される若い太鼓持ちの心のひだを描ききっていた。簡単にやろうと思えばできる噺を運命の荒波に飲まれてヘトヘトになる久蔵の心理に入り込み、微に入り細に入り表現した。
前回の笑二に触発されたのか。これでこそ一門会の醍醐味だ。
次回は笑二が巻き返すのか、談笑が受けて立つのか、はたまた吉笑が俺もいるぞと出てくるのか。楽しみである。
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