八王子駅を出てデッキ伝いに八王子市民会館がある。そこに併設されたホールがオリンパスホールである。これほど駅に近いコンサートホールは初めてだ。
オーストリアのウィーンから来た管弦楽団は1月3日の横浜公演から1月13日の長野公演まで日本で演奏会を開く。東京ではここ八王子を皮切りに初台の東京オペラシティで2公演合計3回演奏会を行う。今日は東京での初日、出て来たときの楽団員は緊張の面持ちである。最後に指揮者が登場すると拍手が一段と大きくなる。指揮者のヨハネス・ヴィルトナーは元ウィーン・フィルのヴァイオリン奏者である。太っていてたいこ腹、オペラに出てくる父親役のような感じの人である。
前半はあまり馴染みのない曲が多かったがヨハン・シュトラウスの曲とあっていずれも軽快で耳に心地よい。
後半はおなじみの「皇帝円舞曲」やら「鍛冶屋のポルカ」だのが出て来て演奏者も観客も乗ってくる。「鍛冶屋のポルカ」では鍛冶屋に扮した打楽器奏者がトンカチで金床を叩いたりする。ハンカチで汗を拭いてそれを絞ると水がしたたりおちたりする。面白い演出だった。 「ピチカート・ポルカ」では弦楽器奏者が全員ピチカートで演奏し、最後に演奏していない管楽器奏者を立たせて拍手を受けさせるといった凝った演出のジョークをしたりした。楽団員も一緒に楽しもうぜという気満々である。
ラストは「美しく青きドナウ」。舞台の上に満々と水をたたえた大河が横たわるように感じた。日本のオーケストラでは感じたことのない堂々として華麗な演奏だった。
何回かののアンコールの後お定まりの「ラデツキー行進曲」で幕となった。 海外のオーケストラのコンサートはチケット代が高いがそのオーケストラでなければ聴くことのできない音色がありたまには聴きに行かなければならない、と思った。少なくともウィーンへ聴きに行くより安上がりなのだから。
|