立川談笑  一覧へ


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12月になると楽しみは芝正伝寺の立川談笑独演会である。どこでやっても独演会は独演会なのだろうが、舞台設定によって演者も観客も影響を受けるのではないだろうか。初代竪川談笑が眠る芝正伝寺で六代目の立川談笑がやるというのは観客にとってなんとも言えない舞台設定である。今年で第五回目になる。

昨年とほぼ同時刻に境内に並んだ。昨年は薄暗かったが今日はまだ明るい。談笑もすでに控え室に入っているようである。初代談笑の墓に手を合わせてから列に並んだ。

先ずは前座、二人しかいない前座の一人笑坊の演目は「真田小僧」。笑坊は柄が明るいのが取り柄だ。噺に嫌味がない。

掛け声とともに階段を駆け上がってきた談笑はいつも同様小走りに座布団に座った。最初の噺は「粗忽の釘」だ。粗忽者の亭主としっかり者のおかみさんとのやりとりが微笑ましい。談笑演ずるおかみさんは多くの落語家がやるように亭主のことを強く罵ったりしない。あくまでソフトに諌める。談笑はフェミニストである。

休憩なしでやったのは「黄金餅」。陰惨な話なので最近あまり聴くことのない噺である。志ん生のLPで聴いたことがあるが笑いを取る部分が少ない噺である。

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談笑の「黄金餅」は結構くすぐりが多かった。最後に金兵衛さんが「黄金餅」で成功したことにはせず、病気で寝ているところに長屋の住人が見舞いに来るという最初のシーンに戻したところが談笑の落ちである。悪いことをした人間に成功させないというところは正義感の強い談笑ならではの工夫であろう。

この会は風情のある会なので毎年続けて欲しい。


 
 
(演目)
   ・真田小僧-----立川笑坊
   ・粗忽の釘-----立川談笑
   ・黄金餅-----立川談笑

                       
(時・場所)
   ・2016年12月11日(日)
   ・17:30〜19:15
   ・芝・正伝寺 本堂


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