【三遊亭白鳥】
名前は知っていたが聴くのは初めての噺家である。声が大きい。
寄席ではたい平の代理でトリを取ったことがある、という前フリから前座噺の"時そば"をやった。
まくらで自分は古典落語ではなく、新作落語をやる噺家だ、と言っていたのでオヤっと思った。軽い噺とはいえ"時そば"は古典落語ではないか。…と思っていたら落ちのところが少し違った。あまりいい落ちではなく、本来の噺の方がキレがあって良いと思った。
それにしてもあのくらいの改変で新作落語とは恐れ入った。
【桃月庵白酒】
名前も噺を聞くのも初めて。言葉がはっきりしていて聴きやすい。
この噺も前座噺に近い軽い噺。オトナの問いかけに子どもがとんちで切り返してやり込めるという話はよほどうまくやらないと嫌味が残って難しい。 やりこめられたお奉行がこの子どもを取り立てて…、という話だが自分ならこんな生意気な子どもを取り立てることはないな、と思った。
【林家たい平】
"金明竹"も軽い噺でどちらかというと前座噺に近い。流山の客はレベルが低そうだからわかりやすい噺にしようと三人で相談したのではないだろうか。
今回の落語会は場所が流山で、都心に近いが市川や松戸といったメジャーな場所ではない。駅を出て一番大きい建物が"つたや金物店"であるのをネタにされたほどだ。
客の入りは60〜70%で日曜日なのに空席が目立つ。やっている噺家もいまひとつ力が入らなかったのではないか。
たい平も流鉄流山駅に降りた印象から入り新幹線での旅の話、寄席の態度の悪い客の話、弁当の話、…と探りを入れながら始めた。
そのうちに意外に今日の客は反応が良い、と気が付いたのではないだろうか。本題に入ったあたりからテンションが上がり始めた。 佳境に入っておかみさんが亭主に客の様子を報告するあたりでは客席が大笑いなら演者も乗りに乗って…、という生の舞台ならではの盛り上がりになった。演者と客席がお互いに盛り上げ合うという、生の舞台ならではの醍醐味である。
帰る客が幸せなら演った噺家も幸せだったろう。
【林家木りん】
前座は林家木りん。何故"木りん"かというと林家木久翁の弟子で身長が192センチあることから師匠がつけてくれたそうだ。父親が元大関の清国で現在は名門伊勢ヶ濱部屋の親方だという。伊勢ヶ濱部屋といえば横綱・日馬富士や関脇・安美錦がいる。清国の息子にしては若すぎると思ったが本人が言うのだから間違いはないだろう。 先日行った落語会では3代目桂三木助の孫が前座で出ていた。落語界も二世がはやっているのか。 噺はまだ大学の落研並だが嫌味がないのが良い。
【流鉄流山線】
始点(馬橋)から終点(流山)まで12分、190円のミニ路線。首都圏では珍しくスイカが使えない。切符も裏に磁気テープのない純然たる紙の切符である。 沿線ものどかな雰囲気で夏蜜柑の鮮やかな黄色が目についた。駅にはカメラを構えた"鉄ちゃん"達がいて熱心に"なのはな号"を撮っていた。
  
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