開口一番は太福の新作浪曲「荒川区銭湯激戦区」である。
太福の新作浪曲は面白い。笑ってはいけない曲師のみね子さんが笑いをこらえるのに困っていたほどだ。どうやら都内荒川区は日本でも指折りの銭湯激戦区らしい。多いから競争が激しくそれぞれの銭湯が客寄せのために工夫して特徴を出しているという。ごく普通の世間話に節をつけたり、三味線の合いの手を入れたりすると不思議に面白くなってくる。浪曲で笑いを取れるというのは太福の個性からくるものだろう。
今日のゲストは三笑亭夢丸で噺は「将棋の殿様」。初めて聞く噺だ。殿様が家来と絶対に負けないルールで将棋をする話。それを三太夫が諌めるという現実離れした設定だ。
夢丸は軽いノリで非現実な話を進める。表情が豊かで駄々っ子のような憎めない殿様になっている。
仲入り後は二人のトーク。主題は銭湯話、夢丸は銭湯マニアで日本全国の銭湯の特徴を手帳に記録している。それを見ながら話すからさすがの太福もかなわない。浪曲の中に出てきた銭湯がすでに廃業していることを指摘されタジタジになっていた。
トリは初公開の「男はつらいよ〜寅さん故郷に帰る」。40年ぶりの再演だそうだ。公開するにあたり山田洋次監督の許可も取ったそうだ。
これは男はつらいよの第1話を浪曲にしたもので当時木馬亭で実演していたものだそうだ。第1話は映画で見たことがなかったので新鮮だった。
初演の割には流暢で何年も舞台にかけているようだった。
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