よみうりカルチャー特別企画「江戸っ子の意気、吉原の粋」という題名の会へ行った。読売新聞編集委員長井好弘先生の解説と噺家桂宮治の落語、最後に二人の対談と盛りだくさんの会だった。長井先生はやたら落語とその周辺の知識に詳しい。今日は長井先生による吉原の歴史的、地理的、人文的解説から始まった。予定では30分だったが10分延長の後、宮治に引き継いだ。
噺は宮治の「明烏」廓噺の古典だ。宮治は口跡がいい、明るい芸風だ。表情が豊かで表現力があり、噺がとても面白い。こんなに面白いのにまだ二つ目だ。しかも二つ目になってまだ4年目という。年齢を見ると39歳とある。あれ、計算が合わないな、と思って落語芸術協会のホームページを見ると2008年桂伸治に弟子入りしたと書いてある。2012年以降はNHK新人演芸大賞 落語部門 大賞を始め、落語関係の賞をとりまくっている。1976年生まれの宮治は2008年には32歳になっている。
ネットで調べてみると次のことが出ていた。1、桂宮治は「元サラリーマン」。2、落語家を目指そうと思ったのが「YouTubeで桂枝雀師匠を見て会社を辞めた」。3、結婚披露宴でスピーチしてくれた社長に向かって、「今日で会社辞めます!」と言って退職した。
只者ではなかった。28才で妻子がありながら円楽に弟子入りした三遊亭兼好の上をいっている。少し前までは大学卒業でなければ落語家になれない、という伝説があったが近頃は脱サラしなければ落語家になれない時代になったようだ。確かに学校を出てすぐ弟子入りするよりもいろいろな人生経験を積んでいる。純粋培養の落語家より噺に説得力があるかもしれない。
ちなみにサラリーマン時代は実演販売みたいな仕事をしていて営業成績はトップだったらしい。あのしゃべり方ならうなづける話だ。。その場の雰囲気、客層、天気など敏感に察知して話を進めるのはそのまま落語の修行をしていたようなものだ。
落語家になって8年目の桂宮治、急成長の途上にある。
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