スタジオフォーはとげぬき地蔵商店街の近くの小さなビルの一階にある。二つ目の会だからそんなに入らないだろうな、と思って商店街を散歩してきた。お年寄りの原宿と言われるだけあって歩いている人の平均年令は高い。原宿の三倍くらいではないだろうか。
15分前に入ったらほとんどの席が埋まっているのに驚いた。補助椅子を出そうかというくらいの入りだ。結局60人の会場は満席になっていた。
まずは立川寸志の「一眼国」だ。寸志という人は44歳で脱サラして立川談四楼に弟子入りしたという変り種だ。今年49才。
前職は編集者というからいい給料をもらっていただろう。弟子入りして数年間の前座生活はほぼ無給に近い。二つ目になった今でも当時の給料からすると雀の涙程度だろう。 寸志の高座はそういうことをまるで感じさせない。にこやかで楽しそうに落語を語る。噺に独特の重みがあり彼の人生経験が生きているな、と感じた。
立川志の太郎は志の輔の弟子だ。「宿屋の仇討ち」は場面転換の妙を味わう噺である。静かに眠りたい浪人と騒ぎたい町人の対比が滑稽な噺でもある。志の太郎は表情豊かに二つの場面を描き分けていた。時々停滞することがあったのはこれからの勉強次第でなんとでもなるだろう。独特の表情に華のある噺家である。
三人のトークに続き、立川吉笑のトリとなる。
吉笑は最近作った新作落語「一人相撲」。使用人に相撲を見に行かせ、それを店で実況させるという噺である。 吉笑独特の発想で何度聴いてもおかしい。
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