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古今亭菊志ん

何となく気になっていた噺家、菊志んの高座へ行って来た。場所は神保町、神田古書センター5階。古本屋の中を直進してその奥に扉があった。

会場は意外に広く折りたたみ椅子6×4列、24席。あとから客が増えて6×5列、30席になった。案内書には50席と書いてあったから客が増えれば椅子も増やすらしい。

それにしても近い。ほんとに目の前で話している。私の席は3列目の端だったが、噺家がこちらを向いて話すときの焦点の場所みたいで八っつぁん熊さんの、熊さんの位置に当たるようだ。おかげですっかり落語の中に入り込んでしまった。

菊志んは思っていた以上に達者な芸人だった。"金明竹" "へっつい幽霊"とこっけいな噺からはじまり"お初徳兵衛"ではしんみりと締めてみせた。こっけい噺が似合う人だと思っていたが、人情話もいける。

はじめは点景だったお初が雨が降り始めたあたりからグイグイと前面に出てくる。 はじめは軽い道楽息子だった徳兵衛が船宿で櫓を握るようになってからどんどんたくましい生活力を帯びてくる。
そしてクライマックス。
そのあたりの話のもって行き方がうまいので思わず身を乗り出してしまった。どう見てもこっけい噺にお似合いの顔の菊志んがこのときは天下の二枚目に見えたのだから芸の力というものは恐ろしい。

二番目に出た桂三木男、若いのにすごい華のある噺家だと思っていたら名人三代目桂三木助の孫だという。早世した四代目の甥にもあたるらしい。
やったのは"だくだく"という噺。泥棒が絵に描いた家具を盗む話でこっけいな前座噺。
後から考えると"まくら"が見事だった。自分がそのつもりになっている時は幸せだという話。 三木男が左右別の靴を履いて美容院に行ったら、途中の道で女性が自分のことを見ている。 その時はモテたな、と思ったが実は靴を見られていたことがわかりがっかりしたという話で、これが微妙に"だくだく"につながっている。
そのうちに大舞台に出てくるのではないか、と思った。イケメンで器用そうだから他の面でしくじらなければ良いのだが。

菊志んが休憩時間に9月19日の独演会(上写真)のチケットを売っていた。前から3列目の席が空いているという。よっぽど買いたかったが予定があって残念。

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(演目)
・金明竹----------古今亭菊志ん
・だくだく--------桂三木男
・へっつい幽霊----古今亭菊志ん
・お初徳兵衛------古今亭菊志ん

(時・場所)
・2012年8月22日(水)
・19:00〜21:15
・神保町らくごカフェ


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