今年一番楽しみにしていたコンサートでした。期待通りのすばらしいコンサートでした。 第1部はジャズのスタンダードナンバー。このメンバーだったらこういう音を出すだろうな、という期待通りの厚みのある音で、特に高橋信之介の軽快でいて粘り気のあるドラミングに目と耳を奪われました。 第1部の最後にボレロ(ラベル作曲)をやったので、アレッと思いました。ボレロはいつもトリじゃあなかったかな。じゃあトリは何をやるんだろう、という期待感も生まれました。
第2部は松本治編曲の組曲「展覧会の絵」(ムソルグスキー作曲)でした。これが今回のコンサートの目玉だったようです。 誰でも知っているテーマ曲のあとに10枚の絵が出てきます。その一枚一枚が今日の出演者の一人ひとりを生かしたジャズ風の編曲になっていてみごとでした。もともとジャズの曲だったのではないかと思えるほどでした。 ここでも、どんな曲にでもしなやかに巻きついていく高橋信之介のドラムは見事でした。普段はニューヨークで活躍しているそうですが、日本に来たときはまた聴きに行きたいと思いました。
ひとつ期待はずれだったのは、松本治構成編曲ということで、山下色があまり出ていなかったことです。それなりに肘打ちや拳骨は出ていましたが、おとなしいものでした。 今日の特別ゲストは山下洋輔フリークのN響主席オーボエ奏者、茂木大輔でした。山下との競演は「Clay」でしたが、この曲は本来カシアス・クレイのボクシングスタイルに触発されて山下が作った曲で、ドラムスとピアノの戦いが見せ場の曲です。オーボエとピアノでは勝負になりません。木管楽器で勝負するなら坂田明でなければ無理でしょう。 豪華なコンサートが終わり、外に出たら雨。右を見るとインター・コンチネンタルホテル。これから酔客に混じって満員の千代田線で帰ることを思うと、この豊かな気持ちが消えてしまう。と思いつつも満員の千代田線で帰りました。
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