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北欧の神秘 / 鳥文斎栄之展


--- 北欧の神秘 ---

北欧の神秘 ポスター
北欧の神秘 ポスター

北欧の神秘
北欧の神秘

スウェーデン国立美術館、ノルウェー国立美術館、フィンランド国立アテネウム美術館から集められた絵画の展覧会である。

北欧の絵画は日本でよく見られる印象派の作品とはまるで違う。一口で言うと暗い。よく見ると深みがある。じっくりと見ていると絵の中に引き込まれそうになる。

本展覧会でフォーカスされたノルウェーの画家テオドール・キッテルセンの作品「トロルのシラミ取りをする姫」を見ると、北欧の長い冬を家の中で過ごす気持ちがじわじわと伝わってくる。

スウェーデンの画家マルクス・ラーションの作品「滝のある岩場の景観」はどこまでも険しいフィヨルドと、どんより垂れ下がった雲の配置は、どこまでも厳しい北欧の自然を表現している。

その他、ムンクのイメージに反して色彩豊かな作品「ベランダにて」とフィンランドの民族叙事詩「カレワラ」をイメージしたガーラル・ムンテの「帰還するオースムンと姫」は興味深かった。後者は「風の谷のナウシカ」に出てくる古代の壁画のようだった。




滝のある岩場の景観 トロルのシラミ取りをする姫



開催期間 2024年3月23日(土)から2024年6月9日(日)までSOMPO美術館にて。

(2024.4.12)


--- 鳥文斎栄之(ちょうぶんさいえいし)展 ---

ポスター1

 


ポスター2

 


貴婦人の船遊び

 


三福神吉原通い
千葉市美術館

鳥文斎栄之(ちょうぶんさいえいし)の絵は外国の美術館に点在していて、それらをまとめて見る機会はめったに無い。今回はボストン美術館と大英博物館および国内に点在している作品を集めた貴重な展覧会である。

鳥文斎栄之は旗本の長男に生まれた。徳川家治の御納戸役を勤めたのち33才で隠居し、73才で亡くなるまで浮世絵師として活躍した。

お役目を果たしたのち隠居し、自分の好きな道にすすむというやり方は伊能忠敬に通じるものがある。士農工商という身分制度が明確に存在した時代である。その生き方は現代人も見習わなければならない。

彼の作品はいずれも細かい筆で細密に描いてある。なかでも遊女の着物の優雅な曲線のラインは彼独自のものであろう。

この時代の作品にしては色彩が鮮やかに残っている。特に赤と緑は鮮やかである。保存状態が良かったのだろう。

戦前の日本人は浮世絵を美術品として認識していなかった。初めて浮世絵の芸術性を認めたのはフランスの印象派の画家たちであった。

したがって素晴らしい作品のほとんどが海外に流出している。残念なことだが反面、保存に気が使われていて、良い状態のまま残されている。

美術館の建物は、市内に残る数少ない戦前の建物(旧川崎銀行千葉支店)を新しい建物で包み込むように設計されており、重厚な雰囲気を持っている。

吉野丸船遊び 郭中美人画 渡辺崋山作「佐藤一斎像」

入場券

2024年1月6日(土)から2024年3月3日(日)まで千葉市美術館にて開催中。

(2024.2.22)

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