2019年  一覧へ
谷中散歩 / ハプスブルク展 / 文化財よ、永遠に / コートールド美術館展〜魅惑の印象派〜 / 奈良大和四寺のみほとけ / 三国志 / モダン・ウーマン〜フィンランド美術を彩った女性芸術家たち / 松方コレクション展 / ル・コルビュジエ 絵画から建築へ---ピュリスムの時代 / シャルル=フランソワ・ドービニー展 / 東寺〜空海と仏像曼荼羅 / 武者小路実篤記念館 / 東山魁夷・平山郁夫 / ルーベンス展


---谷中散歩---

谷中地図


朝倉彫塑館正門

朝倉彫塑館作品


書道博物館パンフレット










子規庵正門

子規庵庭

谷中の墓地をひと回りするといろいろな名所旧跡に出会う。

日暮里駅で下車して反時計回りにひと回りすると、幸田露伴旧宅跡、朝倉彫塑館、岡倉天心記念公園、徳川慶喜の墓、下町風俗資料館、大名時計博物館、書道博物館、子規庵などに出会える。さらに数々の寺、下町情緒たっぷりの店など。

さらに少し歩くと東京藝術大学、黒田記念館、東京国立博物館、東京都美術館などがある。



まず訪れたのは朝倉彫塑館である。彫刻家、朝倉文夫が自ら設計監督し、コンクリート造りのアトリエ棟と木造の住居棟をうまく組み合わせてある。

建物を観察するだけでワクワクするほど魅力的に造られている。天井高さ8.5メートルのアトリエ、重厚な書斎、中庭には池を配し、屋根の上には彫刻が置いてある。

アトリエには高さ5メートルほどの巨大な井上勝像、3メートルほどの小村寿太郎坐像。美術の教科書に出ていた等身大の「墓守」像が置いてある。

まるでテーマパークのような家にどんな風に生活していたのだろう。

朝倉彫塑館屋上 墓守像 朝倉彫塑館構造



書道博物館には洋画家であり書家でもあった中村不折が蒐集した中国の書に関する資料が展示されている。

書といっても紙に書いたものではなく、甲骨、青銅器、瓦当、墓誌などに彫られた文字である。

ほとんどが石に彫られた文字である。よくこれだけの重量物を中国から運んだものだ。

11月9日(土)から12月20日(金)まで開催しています。

書道博物館展示物 中村不折像 彫琢文字



書道博物館の向かいに子規庵がある。

正岡子規終焉の地である。

子規が毎日見ていたであろう庭がほぼそのまま保存されている。

子規の生存中にはなかったラブホが林立する端にポツンと残っているのも何かおかしい。

正岡子規書斎 子規庵しおり 記帳する

(2019.11.7)



---ハプスブルク展---

マリー・アントワネット

マリア・テレジア

マルガリータ王女

絢爛豪華なハプスブルク家。

登場人物はマリー・アントワネットをはじめ、マリア・テレジア、エリザベト、フランツ・ヨーゼフ1世、等々。絵を見ているだけでその時代の雰囲気に浸れる。

その他、当時の甲冑が数体展示されており、迫力があった。観ているだけで戦闘モードに入ったように感じた。C3POはここから出てきたのだと実感した。

マリー・アントワネットとエリザベトの衣装は質感といい大きさといい実際の絵を観ると圧倒される。

混んでいることが予想されたが平日の雨降りの日、ゆったり鑑賞することができた。

ルドルフ2世 ハプスブルク展 ハプスブルク展



時間に余裕があったので常設展にも行ってみた。

「ゴシック写本の小宇宙」という催しをやっていた。

聖書を様々な書体で書いてある。活版印刷の無かった時代の本である。

カリグラフィーに興味のある方は必見です。

ゴシック写本の小宇宙 ゴシック写本の小宇宙 ゴシック写本の小宇宙

両方とも、2019年10月19日(土)から2020年1月26日(日)まで国立西洋美術館にて開催中。

(2019.10.29)



---文化財よ、永遠に---

文化財よ、永遠に〜ポスター1〜

文化財よ、永遠に〜ポスター2〜

今日はゆっくり常設展を観よう、と出かけた。常設室の中の2室を使って「文化財よ、永遠に」という催しをやっていた。

日本の各地の寺にある仏像を修復したものを展示してあった。なかにはベトナムの博物館に展示されていたものもあった。どういうわけで日本の仏像がベトナムにあったのかは不明らしい。

それぞれが各地の寺の本尊として収納されていたものがこの機会に東京の観客の目に触れるわけだ。気のせいか奈良や京都のものより素朴で土の匂いがするように感じた。

特別展と常設展を観た後、東洋館に行ってみた。ここにはインドや中国、朝鮮のものが展示してある。

ガンダーラ地方の仏像は石を彫ったものでできている。仏像の顔は彫りが深く、インド人の顔である。

中国、朝鮮の仏像は日本のものに似ている。ほとんど中国から朝鮮半島を経て日本に来ているわけだから似ているのは当然である。朝鮮の仏像に中宮寺の菩薩半跏像にポーズがそっくりのものがあった。

今、日本は韓国と歴史問題でもめているが、以前は混じりあっていたのだから完全に切り離すことなど不可能であると思った。

文化財よ、永遠に 文化財よ、永遠に 文化財よ、永遠に

2019年10月1日(火)から2019年12月1日(日)まで東京国立博物館にて開催中。


(2019.10.3)


---コートールド美術館展〜魅惑の印象派〜---

コートールド美術館展〜ポスター1〜

コートールド美術館展〜ポスター2〜

1920年代、レーヨンの製造・商取引で大儲けしたイギリスの実業家サミュエル・コートールドは印象派の絵画を買い集め、テムズ川のほとりに自分の名をつけた美術館を造った。

その中から主要な作品が今日本で公開されている。イギリスへ行かなければ見ることのできない作品ばかりなので印象派ファンとしては観ないわけには行かない。当然のことだが実物は画集やポスターとはまるで違う。

素晴らしかったのはポスターにもなっているエドアール・マネの「フォリー=ベルジェールのバー」。人垣の後ろからチラッと見ただけで「これは傑作だ」と思った。

実像は正面を向いている女性のみ、女性の後ろは大きな鏡でミュージック・ホールの客やシャンデリアは鏡に映っている虚像である。女性のどこか虚ろで謎めいた表情から「近代生活のモナリザ」と言われているらしい。

他に印象的だったのはポール・セザンヌの「カード遊びをする人々」と「パイプをくわえた男」の2点。有名な風景画より暗い背景の中の男たちを描いた色使いが魅力的だった。

同様にポール・ゴーギャンのタヒチの女たちを描いた「テ・レリオア」と「ネヴァーモア」のなんとも言えないシックな色使いに魅力を感じた。この4作品は実物を観なければとてもその魅力はわからない。

コートールド美術館展〜セザンヌ〜 コートールド美術館展〜ゴーギャン〜 コートールド美術館展〜マネ「フォリー=ベルジェールのバー」〜

2019年9月10日(火)から2019年12月15日(日)まで東京都美術館にて開催中。


(2019.9.26)


---奈良大和四寺のみほとけ---

奈良大和四寺のみほとけ

奈良大和四寺のみほとけ

平成館で特別展の「三国志」展をやっている。ほぼ同時期に常設展会場で「奈良大和四寺のみほとけ」展をやっている。。

奈良大和四寺とは岡寺、室生寺、長谷寺、安倍文殊院の4つの寺をいう。

会場に入った瞬間目に飛び込んできたのは室生寺の十一面観音菩薩立像でなんともいえない気品を放っていた。会岡寺の義淵僧正坐像は緻密な彫刻で芸術作品としても優れていると思った。

これらの仏像を拝観するには通常なら奈良へ行き、それぞれが収まっている寺へ行かなければならない。開期中なら1つの会場に収まっているのをわずかな時間で観ることができる。

帰る途中東京藝術大学の手前に京成電鉄の「博物館動物園駅跡」という建物があった。そういえば昔は動物園の帰りにこの駅を利用していたものだ。

室生寺 博物館動物園駅跡 博物館動物園駅跡


2019年6月18日(火)から2019年9月23日(月)まで東京国立博物館にて開催中。


(2019.9.3)


---三国志---

三国志

三国志

ウイークデイの午後、閉幕まであと2週間となった「三国志」展。上野公園の端っこにある東京国立博物館はひとでいっぱいだった。

曹操高陵から発掘されたものを中心にスライドの映写やパネルによる説明文が展示されている。

小さいものが多く、ひとがかぶさってよく見えない。パネル表示が多いのでそれを読むひとがなかなか動かない。全ての展示品の写真撮影がOKなのでカメラやスマホを構えるひとが多い。

改めて日本には考古学ファンが多いと思った。

三国志 三国志 関羽像


2019年7月9日(火)から2019年9月16日(月)まで東京国立博物館にて開催中。


(2019.9.3)


---モダン・ウーマン〜フィンランド美術を彩った女性芸術家たち---

チラシ表

チラシ裏

特別展では「松方コレクション展」、常設展の中で「モダン・ウーマン」展をやっている。全部観たがおびただしい点数だった。次回は常設展のみを観覧し、フィンランドの女性画家たちの絵をじっくり観てみたい。

マリア・ヴィーク、ヘレン・シャルフベック、エレン・テスレフ、シーグリッド・ショーマンらの名前は全て初めて目にした。繊細で自由奔放なタッチは有名な印象派の画家たちと比較しても決して劣らないばかりか独特の魅力を感じた。

マリア・ヴィークの「古びた部屋の片隅、静物」の独特のタッチ、ヘレン・シャルフベックのポスターにもなっている「占い師」の単純だが効果的な色の使い方や「少女の頭部」のみずみずしい色彩、エレン・テスレフの「イタリアの風景」の個性的な色の使い方。

日本で開催される機会が少ないであろうフィンランドの女性画家たちの絵をこの際しっかり観ておこう。

modernwoman modernwoman modernwoman


2019年6月18日(火)から2019年9月23日(月)まで国立西洋美術館にて開催中。


(2019.6.20)


---松方コレクション展---

チラシ表

チラシ裏1

チラシ裏2

第一次世界大戦前後、川崎造船所の社長松方幸次郎は10年間かけてヨーロッパで美術品を買い集めた。その数3,000点以上。

今回の展覧会ではその中から160点の作品が展示されている。西洋の名画という名画がくまなく展示されており、一通り見るだけで疲れを覚えた。

名作中の名作と言われ、フランス政府が一時引き渡すのを拒んだと言われるゴッホの「アルルの寝室」があった。図録で見るよりずっと鮮やかなゴッホ独特の色彩であった。ベッドや椅子の形がなんとなく遠近感を無視したように歪んでいて、それぞれの家具が自己主張しているようだ。あるいは精神的におかしくなっていた時期なので普通に描いても変になってしまったのか。

ゴーギャンの作品は常設展会場にあった2枚「浜辺に立つブルターニュの少女たち」と「ブルターニュ風景」の他に「扇のある静物」と「籠の中の花」の2点があった。いずれもゴーギャン独特の色彩とゴツゴツした形状は異彩を放っていた。

松方幸次郎はモネが好きだったようでその作品が数多く展示されていた。たくさんのモネの作品を見ると「睡蓮」とか「舟遊び」のようないかにも印象派といった作品があるかとおもえば「チャリングクロス橋ロンドン」とか「雪のアルジャントイユ」のような古典派のような作品もあり、一筋縄ではいかない画家であると感じた。

ピーテル・ブリューゲルの「鳥罠のある冬景色」やアールト・ファン・デル・ネールの「オランダの冬景色」が見られたのは得した気分だった。またミレイの「あひるの子」は真ん中にいる少女が輝いていた。松方コレクションは守備範囲が実に広い。

特別展の後常設展に行ったら今年3月に見逃したハマスホイの作品が1点展示されていた。「ピアノを弾く妻イーダのいる室内」である。素晴らしい作品が見られてよかった。

今回は初日であるためウィークデイの昼下がりなのに会場は混んでいた。もう少ししたらまた来てみよう。

ゴーギャン1 ゴーギャン2 ハマスホイ


2019年6月11日(火)から2019年9月23日(月)まで国立西洋美術館にて開催中。


(2019.6.11)


---ル・コルビュジエ 絵画から建築へ---ピュリスムの時代---

チラシ表

チラシ裏

ル・コルビュジエ とは国立西洋美術館を設計した人の愛称である、と解説に書いてある。ユネスコ世界文化遺産に登録されたことを記念して彼が推進したピュリスム(純粋主義)に関わる作品を展示した展覧会である。

いつもの特別展の会場ではなく、常設展の会場で行われたのは彼が設計した建物だから、というわけのようである。

実は今日常設展に来たのはゴーギャンの作品を見るためであった。

ついでに見た「ル・コルビュジエ展」は興味深い作品が数多く展示されていた。ブラックやピカソは知っていたがその他の画家はほとんど知らないで鑑賞したが頭の中に良い刺激を与えてくれた。

同じ会場で展示されていた「林忠正のコレクション」もまた数多くの興味深い作品が展示されていた。

ゴーギャンの作品は会場の最後のブースにあった。

マネ、モネ、ゴッホ、セザンヌら印象派の作品とともに「浜辺に立つブルターニュの少女たち」と「ブルターニュ風景」の2点が展示されていた。いずれも力強い色使いで「なんで俺が印象派なんだ。俺はゴーギャンだ!!!」と主張していた。まるでゴーギャンがそこに立っているかのように感じた。

今回は催し物が盛りだくさんのためウィークデイの昼下がりだというのに会場は混んでいた。特別展の会期が終わったらまた来てみよう。

ル・コルビュジエ 林忠正 ゴーギャン1 ゴーギャン2


2019年2月19日(火)から2019年5月19日(日)まで国立西洋美術館にて開催中。


(2019.5.15)


---シャルル=フランソワ・ドービニー展---

チラシ表

チラシ裏

損保ジャパン日本興亜美術館のあたりは人通りが少ない。だが新宿駅で降りてしばらくは人の波を乗り越えるようにして歩くようだ。連休に入って3日目、都内はこんなに混んでいるのか。テレビのニュースでは空港から日本を脱出する人の波が、高速道路や新幹線の下りホームには東京を脱出する人の波が映っていたものだが。

美術館の中に入るとそれほど混んではいない。人を避ければある程度は目的の絵の前に立っていることもできる。

ドービニーという画家は初めて聞く名前である。ゴッホの作品に「ドービニーの庭」という絵がある。ゴッホはドービニーを尊敬していたらしい。

ドービニーの作風はコローに近い。写実的だが雰囲気がある。

おびただしい数の風景画を描いたが中でもオワーズ河畔を描いたものが多い。森に囲まれた水量の多い川である。ひたすらオワーズ川の風景を描いている。

多くの作品が細かいタッチの写実的なものだが中に絵の具をおおまかにベタっと塗ったような作品がある。まるでゴッホのタッチのように。

ドービニーを尊敬するゴッホは彼のこのような作風に影響を受けたのかもしれない。

オワーズ川


2019年4月20日(土)から2019年6月30日(日)まで東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館にて開催中。美術館のある42階からみる地上の風景はまるで離陸中の飛行機からみるそれのようである。


(2019.4.29)


---東寺〜空海と仏像曼荼羅---

門

ポスター表

ポスター裏

門外不出の仏像群が東京国立博物館に集まった。

京都の東寺までは行くことができないけれどもその中の国宝級の仏像を見たい、とウイークデイの昼間にも関わらず観客が押しかけラッシュアワー並みの人ごみであった。

第一会場に入ると空海が唐から持ち帰ったという曼荼羅図が数多く収まっている。鉢や皿や椀が収まっている。

第二会場に入ると坐像、立像、騎馬像、騎象像がスペースをとって陳列している。観客が後ろからも見えるように配慮されたものだ。

帝釈天騎象像に限り撮影可能となっている。それが下の画像である。

持国天立像は鬼二匹を足元に踏みつけ、見栄を切る持国天が迫力満点であった。鎌倉時代の彫り師の腕は神業である。


2019年3月26日(火)から2019年6月2日(日)まで東京国立博物館にて開催中。関東地方在住の方必見である。

帝釈天騎象像
(2019.4.17)


---武者小路実篤記念館---

ポスター

胸像

池

調布市の武者小路実篤記念館へ行った。

京王線つつじヶ丘駅から歩いて15分くらい、住宅街の中に突然現れる。

中に入ると実篤の自筆の原稿とかハガキや手紙類がケースの中に収まっている。壁には写真とともに年表が貼ってある。有名な水彩画もある。

敷地は旧武者小路邸のある実篤公園と隣り合っている。

実篤公園は実篤がここに引っ越してきた当時のままの状態を保っている。池があり、竹やぶがあり、太い木がたくさん生えている。周りが住宅街なのにここだけ不思議な空間となっている。

自画像 入場券
(2019.2.7)


---巡礼への道のり〜東山魁夷・平山郁夫---

ポスター

エントランス

スタンプ1 スタンプ2

市川市の東山魁夷記念館へ行った。ここは筆者が通った中学校の隣にあり、郵便局のバイトで年賀状を配った家でもある。毎日届く年賀状のあまりの多さに驚いた記憶がある。

当時の家は木造平屋で古いがしっかりした造りだったように覚えている。現在の記念館は当時の面影はなく、西洋風の造りになっていた。

今開催されている特別展は平山郁夫とのコラボである。

有名なシルクロードものもあったが平山郁夫の作品で印象的だったのは平山の故郷、瀬戸内海の島の風景を鉛筆画プラス淡彩で描いた作品である。中でも「しまなみ海道17<高根島、佐々木島、因島と向上寺山と瀬戸>」と題された幅47.5センチ長さ187センチの作品には感銘を受けた。

どの島かわからないが島の中の町並みを延々と187センチに渡って鉛筆で描き、淡彩をつけている。屋根、屋根、屋根、屋根、端から端まで瓦屋根が続く。見ていると一定のリズムを感じる。向こう側に見える山は別の島なんだろう。

その他、「丸亀城」「瀬戸内海の小島」「志度寺 五重塔」「普通寺山門」「讃岐路 路傍の石仏」等々、瀬戸内海の風景が続く。

東山魁夷の作品では「春日野朝霧」「古陵薄明」「霧の朝」などスケッチに淡彩だが東山独特の霧の表現が印象に残った。

外観2 外観1

2018年12月8日(土)から2019年1月27日(日)まで東山魁夷記念館にて開催中。

(2019.1.20)


---ルーベンス展---

チラシ

チラシ裏

バロックの誕生という副題を持つ「ルーベンス展」が開催中である。

聖書やギリシャ神話からイメージした作品群はバロック中のバロックといえる。結構残酷な描写やエロティックな描写もあるがバロックになるとフィルターがかけられる。

ゴヤの「裸のマハ」が問題になったのはフィルターをかけずに生の裸を表現したからだ。

バロック化すると物語の挿絵風に描くことができる。聖書やギリシャ神話の解説画としてぴったりの方法である。

ギリシア神話のパエトンが太陽神の戦車を暴走させたためにゼウスの雷を受けて墜落する場面を描いた「パエトンの墜落」、十字架から降りることを拒絶して殉教した「聖アンデレの殉教」など見ることができないものをまるで見てきたことのように描く技術はルーベンスならではのものである。

また「眠る二人の子供」や「クララ・セレーナ・ルーベンスの肖像」の表現力にはどんなによく撮れている写真でもかなわない。

作品 作品

2018年10月16日(火)から2019年1月22日(日)まで国立西洋美術館にて開催中。今なら比較的空いている。

(2019.1.9)


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