2018年  一覧へ
快慶・定慶のみほとけ展 / ガンダーラ展 / 藤田嗣治展 / 縄文〜1万年の美の鼓動 / プラド美術館展 / プーシキン美術館展 / ブリューゲル展 / 仁和寺と御室派のみほとけ / 川瀬巴水展 / 北斎展


---快慶・定慶のみほとけ展---

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           【ポスター表】

チラシ2
           【ポスター裏】

観音菩薩像6体と十大弟子立像、および1体の釈迦如来坐像が京都大報恩寺から東京国立博物館に来た。

17体の仏像が1室に集まった様子はただごとではない。なんとも言えない神々しい雰囲気がある。

観音菩薩像はいずれも気品のある表情で我々を癒やしてくれる。千手観音に限らず観音像に手が何本もあるのは我々の数限りない病気や煩悩をいろいろな方法で治そうという慈悲の表れであろう。

十大弟子立像は釈迦の10人の弟子を表している。それぞれ頭脳明晰であったり超能力を持っていたり説得力が優れていたりと特徴を持つ弟子たちである。

唯一撮影が許されているのは聖観音菩薩立像である。気品のある姿は6体の中で一番である。横から見た立ち姿、後ろから見た立ち姿いずれも美しい。

2018年10月2日(火)から12月9日(日)まで東京国立博物館にて開催中。

(2018.10.7)

観音像1 観音像2 観音像3



---ガンダーラ〜仏教文化の姿と形〜---

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           【ポスター表】

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           【ポスター裏】

雨の中、松戸市立博物館へ行った。広大な21世紀の森の中にある。閉館間際に入ったので森も博物館も閑散としていた。

ガンダーラ地方は世界の紛争地帯の中でも一番危険なところにあった。パキスタン北部山岳地帯からアフガニスタンにかけての岩と土と砂しかない場所だ。仏像はここで作られたらしい。

人類をソフトにあるいはハードに包み込む宗教のうちユダヤ教-キリスト教-イスラム教はヨルダンとイスラエルの間にある死海地方から生まれた。仏教はインド・パキスタン・アフガニスタン地方から生まれている。どこも岩と土と砂のイメージしかない。

それにしてもアフガニスタンで発掘された仏頭は神々しく美しい。紛争とは無縁の表情をしている。

我々はなんであんな不毛の土地に思想的にも美術的にも豊かな宗教が生まれたんだろうと考えるが、彼らからするとなんでアジアの辺境にまで我々の考え方が伝わり、栄えたんだろうと疑問に思うに違いない。しかも仏像を木で彫るなんて。

2018年9月22日(土)から11月25日(日)まで松戸市立博物館にて開催中。

(2018.9.26)

仏像1 仏像2



---藤田嗣治展---

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           【ポスター1】

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           【ポスター2】

7月31日から始まった「藤田嗣治展」もあと2週間ほどで閉幕する。そろそろ行き時と上野駅を出て美術館方面へ歩いた。上野駅を出た人々が向かう先の大部分が自分と同じ方向だ。そんなはずは、と行先を見ると半分は動物園、半分は東京都美術館へ向かっている。「へー、藤田嗣治ってそんな人気あるんだ」と館内に入ると4、5列目の後ろから絵を観るくらい人でいっぱいだった。

日本におけるフジタの人気を再認識して人々の後ろから絵を眺めてきた。

本展覧会では初期から後期までほとんどすべての時期のフジタの絵を網羅している。おかげで初期のワイルドな絵から後期の細密画までフジタの全貌を知ることができた。

初めて藤田嗣治という画家はすごい人だと思った。フジタはあらゆる手法をマスターしていた。そして彼の芸術的趣味は絵画ばかりでなく、陶器の絵付けや飾り箱のデザイン、額縁の彫刻に至るまで 身の回りのものすべてに渡っていた。

それぞれの絵が自分に親しげに話しかけてくるように感じたのは同じ日本人としてのDNAが働きかけていたのか。

2018年7月31日(火)から10月8日(月)まで東京都美術館にて開催中。

(2018.9.24)

チラシ3 チラシ4 自画像



---縄文〜1万年の美の鼓動---

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           【ポスター1】

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           【ポスター2】

縄文時代の土器、土偶の迫力に圧倒された。展示室に入った瞬間、燃え上がるような火炎型土器が目に入りその迫力、独創の圧倒的な力を感じた。

日本に完璧な形の火炎型土器がこんなにたくさんあったということに驚いた。修復してあるに違いないがまるで修復の跡を見せていない。

その形は炎が燃え上がるようなもの、踊っている人々の手足を表現したもの、うずくまっている子供達、等々。見る者によってどのようにでも解釈できるところに芸術性の高さを表している。

水がめとしての機能は十分に持ちながらもこのような芸術的な文様を作らざるを得なかった古代人の心の豊かさを感じた。

おびただしい数の土偶が展示されていた。そのほとんどがデフォルメされた人間の女性を表している。幼女のような女性、怒っている女性、驚いている女性等々。古代の芸術家たちも女性の表情の変化を何かで表現してみたかったのだろう。

男性の像もあった。石を削って作った巨大な男根の棒が何本か展示されていた。祭祈に使用したものなのだろう。これにはあまり芸術性を感じなかった。

2018年7月3日(火)から9月2日(日)まで東京国立博物館にて開催中。

(2018.7.27)

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---プラド美術館展---

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           【ポスター1】

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           【ポスター2】

17世紀のスペインの絵画を集めたプラド美術館展である。展示室に入った瞬間、絵画から発散する気品、格調の高さを感じた。

「芸術」「知識」「神話」「宮廷」「風景」「静物」「宗教芸術理論」の7つのブースに分けられた作品を見る。7つのブースはベラスケスの7点の作品を中心に配置された、という意味である。

「ベラスケスの7点が一挙来日、これは事件です。」というコピーに煽られて各ブースの中心に展示されたベラスケスの作品を念入りに鑑賞したが、徐々にベラスケスと他の画家の区別がつかなくなってきた。どの作品も素晴らしいのである。

気になった作品はルーベンスの「アンドロメダを救うペルセウス」。これは絵そのものよりも星雲の名が二つ入っていたからである。コリャンテスの「羊飼いの礼拝のある冬景色」。これは雪の中の小さな礼拝堂に集う人々と雪が舞う外の景色との対比が鮮やかだった。ロアルテの「鳥売りの女」。市場で鳥を売る女とそれを買う男、周りに果物や肉や野菜が雑多に並んでいる。日常の風景が格調高く描かれている。

17世紀のロマンあふれる絵画が61点集められている。日常の生活では絶対見ることのできないものである。

2018年2月24日(土)から5月27日(日)まで国立西洋美術館にて開催中。

(2018.4.22)

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---プーシキン美術館展---

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           【ポスター1】

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           【ポスター2】

ウィークデイだというのに駅から上野公園へ向かう人が列をなしている。2/3くらいは動物園へ、1/3くらいは東京都美術館へ向かっているようだ。プーシキン美術館展は今月14日に始まったばかりだ。

モスクワのプーシキン美術館から来日した風景画65点は17世紀から20世紀にかけてのものということでバラエティに富んでいた。

17世紀の写実的な風景画から、セザンヌ、モネの印象派まで風景画の移り変わりを見ることができる。

筆者の趣味はカラフルな印象派の作品よりも17、18世紀の荘厳な風景画にあるのだがひとそれぞれの好みで鑑賞することができる。

2018年4月14日(土)から7月8日(日)まで東京都美術館にて開催中。

(2018.4.19)

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---ブリューゲル展---

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           【ポスター1】

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           【ポスター2】

25℃、夏日の上野公園は桜が満開だ。ウイークデイの木曜日なのに大変な人出である。

東京都美術館でのブリューゲル展は開催があとわずかである。

会場に入ると外の人出の割には空いている。ゆっくり回れば一番前で見ることもできる。

今回のテーマはブリューゲル一族の絵を集めている。始祖のピーテル・ブリューゲル1世から始まって4代にわたるブリューゲルの絵が展示されている。

展示スペースは「宗教と道徳」「自然へのまなざし」「冬の風景と城砦」「旅の風景と物語」「寓意と神話」「静物画の隆盛」「農民たちの踊り」に分類されている。

ブリューゲルというと思い出すのは「冬の狩人」である。近景では猟犬を連れた狩人たちが狼狩りをしている。遠景では凍った池で子供達がスケートをしている。遠くの空には鳥が飛んでいる。それらを一つの画面に収めた風景画である。

今回の展覧会ではピーテル・ブリューゲル2世の「鳥罠」が同様のテーマで描かれている。

その他、農民たちの生命感あふれる絵を集めたコーナーが印象に残った。

2018年1月23日(火)から4月1日(日)まで東京都美術館にて開催中。

(2018.3.29)

The Bird Trap Sailing Boats next to a Castel



---仁和寺と御室派のみほとけ---

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           【ポスター1】

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           【ポスター3】

仁和寺の屏風、掛け軸、仏像が展示されている。大変な量である。

日曜日の午後、人の数も大変な量である。おびただしい数の曼荼羅の掛け軸が展示されているが人の頭でほとんど見ることができない。遠くから眺める程度である。

京都の仁和寺へ行けばゆっくり見られるのだろうがそれには時間と金がかかる。手軽に東京で見ようとすれば混雑を覚悟でいかなければならない。

掛け軸のコーナーはダメだったので仏像のコーナーへ行く。仏像は360度の角度で見られるのでなんとか見ることができた。

江戸時代以来東京初公開という秘仏千手観音菩薩坐像の周りはすごい人だ。ただこの周りだけは他とは違う空気が流れていた。千手観音像は数々あるが本当に1,000本の手を持つ仏像はこれしかない。1,041本あるそうだ。

像高250センチメートル以上あるという隆三世明王立像は顔が4面、手が8本ある。人を二人踏みつけている様はすごい迫力だ。

同じ大きさの深沙大将立像と並んで立つ様は山門の仁王様のようだ。

いずれも秘仏といわれるものばかりでこの機会を逃すと東京では見られないものばかりである。少しくらい混雑していても行く価値は十分ある。

2018年1月16日(水)から3月11日(日)まで東京国立博物館にて開催中。

(2018.2.18)

千手観音菩薩 千手観音菩薩 千手観音菩薩



---川瀬巴水展---

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           【ポスター】

作品1
           【木場の夕暮】

川瀬巴水という版画家は明治16年、現在の港区新橋5丁目に生まれた。父親は糸組物職人で、伯父が仮名垣魯文であった。25才の時鏑木清方に弟子入りし版画を始めた。昭和32年74才で亡くなった。最後の浮世絵師といわれている。

わずか6日間であるが柏高島屋で展覧会を開催している。デパートの地下だからどうかな、と思っていたら意外に大量の版画が展示されていた。

絵を見た瞬間、これは好きだな、と思った。

輪郭がはっきりしていて精密、色は的確で鮮やかである。風景が主体の版画は歌川広重を連想させる。

巴水は東京のほぼ真ん中の生まれだけに東京の風景を数多く描いている。芝、深川、木場等々。それらを描いた時期が昭和初期であるだけにいずれも戦前の東京の懐かしいような風景である。

どの絵にも川が描かれており東京の街と川は切り離せないものだったことがわかる。

2018年1月10日(水)から1月15日(月)まで柏高島屋催会場にて開催中。

(2018.1.13)

作品2 作品3



---北斎展---

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チラシ裏

JR両国駅を降りて江戸東京博物館の方向へ歩き、博物館からさらに5分くらい歩くと灰色の変わった建物が見えてくる。これがすみだ北斎美術館である。

ここに葛飾北斎の版画が常設で展示してある。今回の展覧会は常設してあるもののほかに北斎の珍しい作品が展示されている。

冊子になった北斎漫画、その他の細密画である。大きさはA4の半分くらいの作品が多かった。

いずれも細い線で丹念に描いてある。ほとんどが摺物である。当時は銅エッチングの技法はないから木版画であろうと推察される。

89才の生涯のうちほとんどを過ごした墨田区に記念としてできた美術館のようだ。特別展は1月21日までだが常設展は無料で休館日以外はいつでも見ることができる。常設展の方が有名な作品が多い。

自画像

2017年11月21日(火)から2018年1月21日(日)まですみだ北斎美術館にて開催中。

(2018.1.2)


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